【エクセルは企業内部の鏡、もう一度見つめなおしてみよう】
はじめに:なぜ“Excel事件簿”なのか
Excel は世界中の企業で最も使われている業務ツールです。
しかし、便利さの裏側には 属人化・ブラックボックス化・誤集計・行ズレ・範囲ズレ といった構造的なリスクが潜んでいます。
そして実際に、Excelが原因で 国家規模の混乱 や 数十億円の損失 が起きています。
この記事では、世界で実際に起きた4つのExcel事件を紹介しながら、「あなたのExcelは本当に安全か?」
を問い直します。
なお、
以下の記述には問題の本質を表現するため、私が推測して表現している部分もありますので予めご了承ください
目次
事件の紹介
JPモルガンの“62億ドル損失”事件
範囲ズレが引き起こした史上最悪のExcel事故
2012年、JPモルガンは「ロンドンの鯨」と呼ばれる巨大損失を出しました。
原因のひとつは、Excelの AVERAGE関数の範囲ズレ。
例えば
=AVERAGE(B2:B100)
とすべきところが、誤って
=AVERAGE(B2:B50)
になっていた。
つまり、半分のデータしか平均に入っていなかった のです。
結果としてリスクが過小評価され、
62億ドル(約6,000億円)の損失 につながりました。
以下のようなExcelの構造的弱点が世界的な企業を揺るがす事件になったのです
- 範囲が手動
- 行が増えると壊れる
- 誰も気づかない
- 監査不能
TransAlta社の“1行ズレで30億円損失”事件
コピー&ペーストの1行ズレが契約を破壊
カナダの電力会社TransAltaは、入札価格表のコピペで 1行ズレ を起こしました。
その結果、
- 高額ルートに低額入札
- 低額ルートに高額入札
という“逆転現象”が発生。
落札した瞬間に赤字が確定し、2,400万ドル(約30億円)の損失。
以下のExcelの構造的弱点がまさに企業の重要契約を破壊したのです
- 行の位置に意味を持たせていた
- 1行ズレてもExcelはエラーを出さない
- 人間の目では気づけない
英国A-Level試験の“アルゴリズム誤判定”事件
Excel的ブラックボックスが教育制度を揺るがす
2020年、コロナで試験が中止され、英国は アルゴリズムで成績を決める ことにしました。
しかしそのロジックは、
- 学校ごとの過去実績(偏差値)を過剰に反映
- 個人の能力より“学校の歴史”が優先
- 公立校の優秀な生徒が大量に不当に低評価
全国で抗議デモが起き、政府はアルゴリズムを撤回。
これだけだとイメージしにくいので、企業の賞与計算を例に解説してみましょう!
例えば、下記のように4人の個人評価点があったとします

見ると支店Bの人の方が評価が高く、賞与も高くもらえそうです
ここで支店係数が過去の実績をもとに登場したとします

そうするとどうなりますか?
一転、支店Aの人の方が最終評価が高くなるのです

今回のロンドンのケースでは上記と同様に、過去実績が高かった私立高の生徒が優遇されてしまいました
結果として公立校の優秀な生徒との逆転現象が起きてしまいました
ただ、上の図を見てそりゃそうだよね・・・と思った方もいらっしゃると思います
「なぜ問題の構造の気づけなかったのか?」
これが今回の本質的な問題です
以下のExcelの構造の問題が国家を揺るがす問題となったのです
- ロジックがブラックボックス化
- 参照関係が外部から見えない
- 変更履歴が残らない
- 第三者レビューが不可能
つまり、私の推測も入っていますが「こんな形のエクセル」であったのです

数式の中に値や係数をまぜてしまい、もう外からは見れません
逆に下の画像のように係数と値(個人評価)を分けて、評価しやすいようにしておけばよかったのです

更にいえば、上の事例では値と係数が連動していますので、いくつかの係数を試してシミュレーションすることも容易だったはずです
これはまさに 企業のExcelマクロや複雑な数式と同じ構造 なのです
<まとめ>
Excelは、企業の
- 文化
- 属人化
- 統制レベル
- データ品質
- 業務の成熟度
をそのまま映し出します。
Excelが乱れている企業は、業務も乱れ、意思決定も乱れます。
Excelを見直すことは、つまり企業そのものを見直すこと です。
次回ではその具体策に迫りたいです!

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